買付証明書の法的拘束力

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買付証明書は、

不動産を購入する意思表示」を表します。

ただ、買付証明書は慣習上の行為であり、
法的拘束力はありません

法的拘束力がない理由

民法上、
不動産の売買契約は諾成契約(だくせいけいやく)です。

諾成契約とは、
当事者の意思表示の合致のみで成立する契約」を指します。

意思表示・・・一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に表現する行為

つまり、

売主「いくらで売ります」
買主「その値段で買います」

と条件が一致すれば、
契約書を結んだり物を引渡したりしなくても契約が成立することになります。

買付証明書の場合、
売主側が買付証明書の条件で取引をしたい意思表示をすれば
契約が成立してしまうことになると思われがちですが、
裁判所の見解(地裁レベル)では、

「不動産取引のような高額な売買契約の交渉では多数回の交渉を繰り返し、具体的な条件が全て合意に達した段階で正式な売買契約書を交わすことが通例であるから、
買付証明書の段階では当事者の意思表示が最終的・確定的になされていない

との理由で契約の成立を否定しています。

つまり、
買付証明書は単なる買付の意向の表明であり、
内容の見込みについて合意したという程度の
ものでしかなく、
また正式な売買契約書を結ぶことが予定されており、
契約書を結ぶまでは確定的な意思表示が留保されている
ということになります。

買付証明書をむやみに破棄する問題点

民法上は売買契約を行うという法律行為がなければ
法的拘束力はないということになっていますが、

交渉の過程で正当な理由なく一方的に交渉を打ち切ったり
何らかの原因で交渉を継続することができなくなったにも関わらず
その旨を相手方に伝えず放置したような場合、
信義則違反及び不法行為責任があるとするのが判例の立場であり、
場合によっては不法行為に基づく損害賠償請求をされる可能性もあります。

例えば契約締結に向けて様々な準備を行った時に
かかった経費などが挙げられます。

(東京地判平成15年6月4日 判例マスタ2003-06-04-0004)等が参考になります。

実際に損害賠償請求されることは少ないですが、
一度買付証明書を入れた以上、
何の理由もなく購入を中止することは避けるべきです。

また、
買付証明書を提出しながら
一方的な理由で交渉を打ち切ると、
不動産会社から取引をしてもらえなくなるなどの
不都合が生じることも覚悟しなければなりません。

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