【法人化】投資用不動産は個人名義と法人名義、どちらで買う方が得なのか

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不動産投資をやっていると「次の物件は法人で購入した方がいいの?」という疑問が出てきます。今回は投資用物件は個人名義で購入したほうが良いのか、不動産賃貸業(もしくは個人資産管理)の法人を立ち上げて法人名義で購入したほうがいいのかについて、運営・税金・社会保険・相続の4つの側面から解説します(ノ)・ω・(ヾ)

個人名義で不動産を購入する場合

まずは投資家個人名義で投資用物件を購入し、不動産所得(売却して譲渡益が出た場合は譲渡所得)を申告する場合です。

スタートアップ時の事務作業が圧倒的に楽

不動産投資を始める際には物件の仕入れや内装リフォームなどやるべきことが多く、細かい事務作業に割く時間はあまり確保できませんが、個人事業主の場合は物件を買って家賃をもらうまでにやっておくべきことは税務署に開業届を提出することくらいです。あとは銀行口座を持っていなければ開設しておく位です。大抵の人は持っていますよね。

一方、法人化した場合に最低限やることは次の通り。

  • 株式会社(または合同会社)の設立登記
  • 会社の銀行口座を開設
  • 税務署、県税事務所、市区町村に開業届などを提出(ざっと書類10枚程)
    ※東京23区の場合は税務署と都税事務所のみ

最近は金融庁主導でマネーロンダリングや振り込め詐欺への対策が行われており、法人の銀行口座開設の難易度がかなり上がっているため、ここ数年は即日で法人の銀行口座を作ることはほぼ不可能な状況です。口座開設に際して事前に必ず審査が入り、審査を通過した場合にようやく口座開設申込書が受理されます。通帳が発行されるまでに2〜4週間ほどかかります。

法人設立にも合同会社で最低7万円、株式会社で20万円程度の費用がかかり、登記が完了するまで1週間はかかります。

開業届に関しては、慣れていれば2〜3時間で出してしまえますが、調べながらですと1日はかかってしまうかもしれません。

そういった初期の法人設立の手間を省略して仕入れの営業や内装リフォームに集中したいのであれば、法人化は後回しにするのも手です。

青色申告特別控除(10万円または65万円)が使える

投資用物件から得られる賃料は不動産所得として単独で不動産所得用の決算書を作り、その所得金額から一定の計算式で所得税額を計算します。この所得金額は、決算書で計算された所得金額(青色申告特別控除所得金額と言います)から、10万円または65万円を差し引いた金額を計算し、それを所得金額(青色申告特別控除所得金額)として、これに基づいて所得税額を計算します。

平成276年分の所得税確定申告(平成27年に申告する分)時点での所得税の計算は次の通りです。

所得金額 所得税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超〜330万円以下 10% 97,500円
330万円超〜695万円以下 20% 427,500円
695万円超〜900万円以下 23% 636,000円
900万円超〜1800万円以下 33% 1,536,000円
1800万円超 40% 2,796,000円

※最新の所得税率は所得税の税率(国税庁HP)で確認できます。

青色申告特別控除が65万円で、青色申告特別控除前所得金額が500万円とすると、白色申告の場合と比較して次のような差がでます。

▼白色申告の場合

( 500万円 × 20% ) – 427,500円 = 572,500円【所得税額】

▼青色申告(控除額65万円)の場合

{ ( 500万円 – 65万円 ) × 20% } – 427,500円 = 442,500円【所得税額】

65万円 × 20% = 13万円分の所得税額が節税できます。さらに住民税(所得金額の10%)の計算に使う所得金額も青色申告特別控除後となるため、 65万円 × 10% = 65,000円 の節税となります。

青色申告特別控除で65万円を満たすにはいろいろ条件がありますが、基本的には次の条件のいずれかを満たせば65万円控除が使えます。

  • 事業所得がある(例:小売店を営んでいる、ネットショップを運営している、アフィリエイト収入がある)
  • 5棟以上の物件を所有している
  • 総戸数(部屋数)が10室以上である

10室のアパート1棟でもいいですし、区分所有や戸建を5戸購入してもOKです。

他にも「複式簿記」での記帳や、現金主義ではなく「発生主義」での会計処理が必要となりますが、会計ソフトを使用していれば自動的に複式簿記なのでOKです。

発生主義は簡単に言うと「家賃滞納されても売上に計上(未収賃料は債権として資産計上)」することと、「未払経費もきちんと経費計上」するということです。きちんと掛取引、つまり売掛(うりかけ)・買掛(かいかけ)を期末に処理すればOKということです。「来年分もまとめて経費を払って利益を調整!」するような個人事業主には節税させないよ、ということです。会計学では「一定期間の損益をきっちり対応させて計算してね」という原則があるので、原則どおりやる事業主へのご褒美というわけです。

事業のランニングコストが安い

個人事業主を営む上で必要な固定費は、会計基準が変更された時に会計ソフトを買い直すくらいでしょう。会計ソフトも法人用は安いと1万円からありますが、高いと20万円近くするものもあります。不動産を少々持っているくらいでは大した会計ソフトは必要ないので、1万円位の安いもので十分です。

一方法人は、最低でも次のランニングコストがかかります。

かかる費用 金額(年間)
法人道府県民税(均等割) 20,000円
法人市町村民税(均等割) 51,000円
税理士報酬 300,000円
合計 371,000円

法人は黙っていてもかかる法人住民税(県税事務所に支払う法人県民税、市役所に支払う法人市民税)があります。7万円の場合もありますが、地方の場合森林環境税がかかったりするので年間71,000円です。

また、法人税の申告は個人の所得税の確定申告より難易度が高いため、通常税理士に任せます。顧問料月1〜2万円、決算報酬が7〜10万円で年間30万円程度の報酬がかかるのが一般的です。

他にも、役員(取締役)が引っ越した場合は役員の住所変更登記に1万円かかったり、本店を移転すると法務局の管轄が同じ場合で3万円、他の管轄の法務局になる場合は6万円の費用がかかります。自宅を本店登記せず、事務所を借りる場合は事務所の賃料もかかります。

法人名義で不動産を購入する場合

ここまで書くと個人で不動産を所有したほうがはるかによさそうに思えますが、それを補って余りあるメリットが法人にはありますので、最初から法人でやったほうがはるかに得です。

各種の事業損益をひとまとめに計算できる

個人で不動産投資を行う場合、家賃収入が入れば不動産所得、土地を駐車場にして管理人を置いて時間貸しにすれば事業所得、賃料を管理する銀行口座に入った利息は利子所得、売却して利益が出ると譲渡所得、という具合に所得の種類ごとに分類されており、それらの所得金額を合計して所得税額を計算する総合課税制度になっています。

各所得の扱いは所得税法で細かく定められており、例えば平成26年に投資用不動産を売却して100万円の譲渡損失が発生し、また平成26年の不動産所得が100万円だった場合、 個人事業主の場合、不動産所得の100万円に対して所得税がかかり、譲渡損失と損益通算することはできません。

一方、法人で不動産賃貸業を事業目的として行う場合、その法人が行う他の事業と損益計算を一緒に行い、所得税のように所得の種類ごとに計算は行いません

したがって、投資用物件を売却して損失(固定資産売却損)が100万円発生し、また家賃収入により営業利益が100万円だった場合、固定資産売却損は特別損失として計上するため、税引前当期純利益は0円となりますので、法人税はかからないことになります。

※実際には税引前当期純利益から所得金額を計算し、その所得金額に法人税率等を掛けますので、状況によっては法人税がかかります。上記のケースでは「税引前当期純利益=法人税法上の所得金額」としています。

また、投資用不動産を売却して利益が出た場合、個人事業主であれば5年以内の売却は短期譲渡所得となり、譲渡益の39%(所得税30%+住民税9%)の税金を納める必要があります。仮に不動産所得で赤字が出ていた場合でも、譲渡所得は分離課税ですので、あくまでも個別に計算されます。

法人の場合、家賃収入による営業利益も物件売却による特別利益であっても、全てひとまとめに計算して所得金額を計算して法人税が課税されますので、仮に短期で売ることになって売却益が出た場合でも高い税率が課せられることはありません。

減価償却費の損金計上が任意(個人事業主は強制)

個人事業主は取得した不動産のうち建物部分の金額は必ず減価償却(強制償却)する必要がありますが、法人の場合は任意償却となります。

減価償却しないメリットしては、本来赤字の場合であっても、減価償却を行わないことによって黒字にすることができます。また、減価償却を行っている場合、格安で購入した物件であればほとんど値落ちしないかむしろ購入金額より高く売れるケースも多いので、その際に多額の固定資産売却益を計上することになり、物件を売った年に多額の法人税が課税されるということになりますが、減価償却を行わないことで保有中にある程度法人税を支払うことができ、その際は帳簿上の建物価格は下がりませんので、売却時にさほど固定資産売却益を計上しなくても済むというメリットがあります。

デメリットとしては、減価償却をしていない決算書であり、きちんと減価償却をしていた場合には赤字となっているような状況であれば、金融機関から実質的に赤字の決算書とみなされて融資の際に難色を示されるケースがあることです。特に融資を受けないのであれば、減価償却をしないことによる罰則規定があるわけではないですし、会計学上適切ではないという程度ですので、しないという選択肢もありです。

したがって、融資を受けて事業を拡大させる場合は、減価償却は償却限度額まで行い、法人税の申告は税理士に任せる方法が一般的です。

経費に計上できる範囲が広い

個人事業主で不動産所得がある場合、経費計上できるのは不動産賃貸業に関するものに限定されますので、他の事業の準備をしていた場合であっても、不動産賃貸業に関係ない場合は不動産所得の決算書上経費として計上することはできません。

また、不動産を売却した場合、譲渡所得は次のように計算されます。

譲渡所得 = ( 譲渡金額 – 取得金額 ) – 取得費用 – 譲渡費用

 投資用不動産を売却した金額(譲渡金額)から購入した時の金額(取得金額)を差し引き、そこから買った時の手数料(取得費用)と売った時の手数料(譲渡費用)を差し引くわけですが、取得費用の中に改良費設備費も含まれます。

もちろん、既に不動産所得で経費として落としたものは費用に含まれません。例えば個人の場合は減価償却が強制ですので、建物の取得金額は減価償却費分差し引かれますし、購入時の契約書印紙代等を不動産所得の租税公課として経費計上した場合、譲渡所得の計算では使えません。したがって、仮に譲渡所得が出そうなくらい安く不動産を買える場合であれば、少なくとも5年間は絶対売らない場合を除き、ある程度取得費用になる経費は譲渡所得のために取っておくというのもありです。

さて、ここで重要なのが、リフォーム代がどこまで認められるかわからないということです。投資用不動産を高く売却するために建物に改良を加えて売却した場合、費用として認められる余地はかなり高いといえますが、賃貸にするために不動産の傷んだ箇所を修繕し、その後入居者が決まる前に資金繰りのため売却したというようなケースの場合、その修繕費用は売却のための費用として認められない可能性があります。自分で住むために購入して好みの改装を行い、やっぱり売却することになった、というような場合は内装工事代金を譲渡所得の計算に入れるのは難しいでしょう。

その他にも、物件を売却するために様々な営業活動をしたり、物件売却のために交通費を支出した場合であっても、それは売却に直接関係する経費とはいえないため、経費として認められない可能性が高いといえます。

株式会社や合同会社などの営利法人は、活動はすべて営利目的で行われるため(営利法人は無償での慈善活動を目的として設立することはできない)、法人としての活動は一部を除き基本的に損金になりますし、帳簿もきちんとつけているものですが、個人で保有している不動産は生活のためや趣味のために保有している場合もあり、そもそもきちんと帳簿をつけていないため、その区別は非常に曖昧であり、法人のように間接的な経費を軽々と認めるわけにはいかないのが主な理由でしょう。

したがって、今後不動産を基盤として事業を拡大させていくのであれば、法人を設立してしっかり帳簿をつけることで、事業活動に要した費用の多くを損金として計上できるため、法人の方がはるかに得といえます。

さらに付け加えると、個人で不動産を所有している場合、仮に不動産賃貸のために使用していなかったとしても、売却時には減価償却がされていたものとして計算されるため、建物の取得価格は実際より低くなってしまい、譲渡所得は高めに計算されることになります。

社会的な信用度が増す

不動産投資は電話と算数ができて節約の精神があれば誰でもできる商売ですので、体の不自由な高齢者でも大学生でもニートでもできます(実際、僕は大学1年生の時に賃貸業を開業しています)。

そのため、誤解を恐れずにいえばアパートやマンションの家賃で生活しているというのは「きちんと働いていない人」と見られてしまうこともあります。事業をしっかり行っていることを証明するには確定申告書が必要になるでしょう。

一方、不動産賃貸業を事業目的とする法人を所有し、代表取締役(合同会社の場合は代表社員)として働いていれば、社会的には「会社役員」「社長」とされますし、会社からの役員報酬と源泉徴収票は個人の収入の証明にもなります。

形から入るのはよくないかもしれませんが、仕事を聞かれた時に「家賃収入で生活している」のと「不動産賃貸業の会社を経営している」というのとでは、やはり印象が違ってみえると思います。

法人への出資は有限責任

法人設立時に投資した出資金は会社が破産した場合には失われますが、会社の精算手続後に残った負債を負担する責任は負いません(有限責任)。

会社法第104条(株主の責任)
株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。

一方、個人事業主の場合、その事業において他人に損害を与えた場合、限度なく責任を負うことになります(無限責任)。

もちろん、個人の資産管理会社の場合、自分でそのまま代表取締役(役員)として経営を行うことになります。役員が悪意(意図的に)または重大な過失(ありえないレベルのうっかり)で会社の債権者に損害を与えた場合は、株主としてではなく役員として責任を負うことになる(取締役の第三者責任)ことは注意して下さい。

会社法第429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
1 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

いずれ法人化させる際の手間

年間600万円程度の利益があるかどうかが法人化の壁と言われますが、不動産投資を拡大させていく場合、収入は毎年積み上がっていきますので年間600万円程度の収入は時間の問題です。したがって、いつかは法人化する必要が出てくることになります。

その際に一度個人名義で築き上げたスキームを法人名義に変更していくのはかなりの手間がかかりますし、個人事業主として覚えた会計や税務の知識を捨てて今度は法人の会計・税務を覚え直す必要があります。むしろ、法人の決算書作成は個人より多少難易度が上がりますし、法人税等の確定申告は所得税の確定申告より10倍は手間がかかりますので、税理士に最初から任せるケースが多く、個人の確定申告を無理して覚えることもなかった、ということになる場合もあります。会計知識があったほうが得なのは間違いありませんが、税理士になるのでなければ商売に集中して利益を倍々で上げる方に集中したほうがはるかに得です。

また、法人は設立当初は信用力がほぼゼロに近いため(特に資本金が低い場合は絶望的)、また新たに一から信用を作り上げていく必要があります。

はじめから法人を運営していれば防げる手間ですので、資金力がある方やもともと不動産業界で働いており投資に精通している方、優良企業に勤めており高い収入と信用力がある方は、ある程度の規模に数年で持っていく自信がある場合には最初から法人で投資用物件を購入していく方が合理的です。

厚生年金・健康保険に加入できる

法人を設立して代表取締役に就任して役員報酬を受け取ることで社会保険に加入できますので、厚生年金・健康保険に加入することができます。

月額10万円程度の役員報酬であれば厚生年金は国民年金とほとんど変わらず、しかも厚生年金の保険料には国民年金部分も含まれています。また、国民健康保険とくらべて健康保険(国保とは別物)は国保にない傷病手当金などもあり、国保と保険料はさほど変わりません。

さらに、厚生年金に入っていれば保険料は月額役員報酬で決まるため、役員報酬以外の副収入があっても保険料は上がりません。

損失(欠損金)の繰越を最大9年間行える

青色申告適用の個人事業主の場合、不動産所得に赤字が発生し、給与所得と損益通算してもまだ赤字(純損失)がある場合、最大3年間繰越ができます。平成26年分の確定申告で100万円の純損失となった場合、平成29年分まで繰り越した上でその年の黒字から控除することができます。

法人の場合、欠損金の繰越控除は最大9年間繰り越せますので、個人の3倍もの猶予期間があることになります。

合計500万円の欠損金を控除しそこねた場合、税率30%で計算して150万円の損失に相当しますので、繰越期間が長い法人の方が得と言えます。

役員報酬を受け取ることで個人の所得も得ることができる

仮に年間1億円の利益を上げた場合は間違いなく法人の方が税率が安いといえますが、年間500万円以下位の所得であれば法人にかかる実効税率(法人税・住民税・事業税の合計額)より個人の実効税率(所得税・住民税・事業税の合計額)の方が安いケースが多いので、所得が低い場合は法人化は税金が高く損するように思えるかもしれません。

しかし、法人で仮に500万円の利益があげられる状況があるとして、あらかじめ役員報酬として500万円を受け取っておけば、法人の所得金額は0円となり、法人税等はかからないことになり、また個人の所得として役員報酬に課税されますが、役員報酬から給与所得控除が差し引かれるため、個人で事業所得として家賃収入を得るより所得税率はぐっと安くなります。

もちろん、実際には社会保険料が役員報酬に応じて掛かるため、圧倒的にお得というわけではありませんが、創業当時から役員報酬をもらっておいて個人として所得を得て、数年間赤字が積み上がった場合は役員報酬を減額し、利益が出始めたら繰越欠損金の控除でしばらくは法人税がかかりませんし、大きく儲かり始めたら役員報酬を法人と個人の税率のデッドクロス時点である年間500万〜600万円程度に固定し、個人資産を蓄えながら法人に分厚い利益剰余金を残し信用力を高めていくという経営を行うことができます。

法人は創業者が死んでも信用力が継続する

全ての信用力を個人事業主として築き上げても、自分が死んでしまえば子供に信用力を移すことはできません。

法人であれば、長年黒字経営を継続し、利益剰余金の蓄積を行っていれば(いわゆる「内部留保を溜め込んだ企業」というものです)、仮に自身が亡くなった後でも法人の信用力は継続します。松下幸之助が今日のパナソニックを築き上げたのも法人化していたからではないでしょうか。

相続を考慮すれば一長一短

個人事業主の場合、相続対策としては「各相続人に独立した建物を単独所有で分散して相続させる」のが適切なケースが多いでしょう。単独所有というのがキモで、アパートを共有名義で相続人に相続させると、運営方法は民法上共有財産の管理の規定に従いますので、多数決で決めることになります。

民法第252条(共有物の管理)
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

誰でもできる不動産投資とはいっても、投資に詳しい人も詳しくない人もごちゃまぜに多数決で決めてうまくいくほど甘くはありません。賃貸に出すか、賃料はいくらに出すか等の管理行為を全て多数決で決めるのは非現実的です。修繕などの保存行為は各相続人が単独でできますが、他の相続人がやりたくないといえば民事訴訟でもやらない限り自腹になってしまうでしょう。

しかし、例えば相続財産が自宅1棟と大規模アパート1棟で子供が4人いるという場合、売却か相続放棄でもしない限り単独所有はできません。

そのようなケースでは、まだ法人化して経営能力のある者に一任して運営を任せたほうがはるかに得といえます。株式を均等に相続すれば、相続人の1人が勝手に役員報酬を高額にして会社の利益を独り占めしてしまうというようなこともできないからです。少なくともアパートを共有名義で相続し、子→孫→ひ孫と名義が細分化されて手が付けられなくなるよりはずいぶんとマシでしょう。

共有で保有する投資用不動産を売却(民法251条の変更に該当)する場合は全員の同意が必要ですので、ほぼ不可能です。法人であれば、代表の経営判断で売却し、会社の解散・精算に持ち込めば、売却金額を株式の持ち分に応じてうまく分割することができます

民法第251条(共有物の変更)
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

しかし、法人化すると誰が経営するかでもめることも十分考えられますし、相続人の1人が事務負担を押し付けられ、役員報酬もほとんどもらえないとなるとそれはそれで問題となります。

したがって、相続を考慮すれば、小さな収益物件を複数持ち、家賃収入が均等になるように各物件を単独名義で各相続人を指定してそれぞれ相続させる旨の遺言書を作成するのが最も最適ですし、それが難しい場合は、予め話し合いをした上で、1人の相続人が多めに不動産を相続し、各相続人に法定相続分相当額の現金を支払うように定め、相続後に早急に売却してしまうのが好ましいといえます。

もちろん、各家庭により適切な相続の方法はありますので、一概には言い切れません。

まとめ

結論として、よほど小規模におさめるのでなければ、早い段階で法人化してしまうのが良いと思います(`・ω・′  )

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コメント

  1. より:

    先月、不動産を主人との共同名義で購入しました。友達から合同会社を設立したほうがいいといわれ、よくわからなくて悩んでいますが。何かアドバイスいただければ幸いです。

    以上 よろしくお願い申し上げます。

    • daigakuseiooya より:

      現在の規模や今後の方針次第だと思いますが、ご主人と共同で今後増やしていかれるのであれば法人でされたほうが良いと思います。合同会社自体は簡単に設立できますので、「合同会社 設立」などで検索されてみると良いと思います。ただし、費用は設立自体に8万円程度かかり、顧問税理士を付ける場合は年間30万円程度の経費はかかります。