不動産競売の買い手と価格を決める期間入札と特別売却の仕組み

記事を共有する

不動産競売(ふどうさんけいばい)は債権者の申し立てを受けて裁判所が不動産を差し押さえて強制的に売却・換価(物をお金にして債権者への債務の弁済に充てること)する手続きですが、その買い受けの方法は一般市場とは異なります。

通常の一般市場における不動産売買では、売主・買主の交渉で好きに値段を決定できますが、裁判所の公正な手続きによって売却がなされる不動産競売では買受は一般的に入札方式で行われ、ルールも厳密に定められています。

競売の多くは期間入札で行われ、期間入札で1件も入札がなかった不動産は特別売却による売却が行われます。

スポンサーリンク

不動産競売の基本、期間入札の仕組み

期間入札は、指定された入札期間中に入札を行う入札方式です。不動産競売ではまず期間入札で売却が行われます。期間入札で売れ残った場合、後述する特別売却となります。

封印入札方式で行われる

期間入札では、入札希望者が入札書に入札金額を記入し、指定の封筒に入れて糊付けし、入札期間中に入札するという封印入札方式(ふういんにゅうさつほうしき)が採用されています。

下記の写真は東京地裁管轄の物件に入札する際に使用する封筒です。このように専用の封筒が管轄裁判所に用意されていますので、入札書や払込書等の入札書類一式を裁判所で手に入れてから入札します。

入札書用封筒

この封印入札方式の特徴は他の入札者の入札価格がわからないということです。

この時、万が一最高額買受人が代金を納付せず買受(かいうけ)をしなかった場合に次順位入札者に次点繰上げを希望するかの確認があります。この際に名乗り出れば次順位買受のチャンスが有ります。

築地市場等の中央卸売市場でマグロの競り(せり)に採用されている公開入札方式であれば、他の参加者の入札金額を確認しながら、欲しければ価格を釣り上げていき、高くなりそうであれば途中で離脱する、と言ったことができますが、競売ではそれができない仕組みになっています。

また、競売では誰が入札しているのか、何本入札が入っているのか、という事もわかりません。

そして、裁判所が定めた開札日に指定された開札所で各入札者が入札書を投入した箱の開封作業を行い、その場で最高順位の入札者と入札金額、次順位の入札者が読み上げられます。一番高い金額を入札した人が買受人(かいうけにん)となり、裁判所から手続きの案内書類が郵送されます。買受人とは落札者のことで、一般市場で言う買主の立場となります。

第一価格入札(ファーストプライスオークション)

期間入札では、一番高い金額を入札した人が入札した金額で売却がなされます。これを第一価格入札ファーストプライスオークション)と呼びます。

したがって、開札によって買受人が決定すると、買受人は自分の入札した金額で物件を買い受けることになります。

買受を行わなかった場合、入札時の入札保証金が没収される他、一定期間その地方裁判所での不動産競売に参加できなくなる等のペナルティーが定められている場合もあります。

特別売却 – 買い手がいない時の売り切りセール

期間入札で売れ残った物件については特別売却が行われます。

買受希望者が一人の場合は先着順

特別売却での購入希望者は、特別売却開始期間中に買受けの申し出をします。他に希望者がいない場合は先着順で競売物件を購入することができます。

なお、申し出の受付時までに他の希望者が現れていなければ購入できます。受付時より前にすでに他の希望者が買受の申し出をしていれば購入はできません。逆に、先着順で購入できた後に他の希望者が現れてもその希望者は購入できません。

価格は買受可能価額以上で購入することができますので、他に希望者がいなければ買受可能価額で購入できます。例えば、売却基準価額が1000万円の場合、買受可能価額は売却基準価額の8割ですので800万円となります。

なお、売却基準価額の2割の保証金が必要ですので、この場合は200万円が必要となります。期間入札と同様に金融機関での払込書を持ち込む方法もありますが、特別売却は準備期間が短いため、買受けの申し出を行うときに現金で保証金を納付する方法もあります。

買受希望者が複数の場合は入札または抽選

買受希望者が特別売却開始期間の初日の朝一番に複数人現れることがありますが、その場合は通常その場で入札して買受人を決めます。

入札金額が異なれば高いほうが買受人となり、同額の場合はその者だけで入札をやり直したり抽選を行ったりします。また、最初から抽選で決める場合もあります。

売却基準価額の見直し!買い手がいない時の奥の手

特別売却でも買受希望者が現れなかった場合、売却基準価額を見直し(減額)し、再び期間入札に流れることになります。物件によっては売却基準価額の値下げを繰り返し、最終的に1万円になる競売物件もあります。

また、特別売却でも売れなかった物件が、売却基準価額を減額した次回の期間入札で前回の特別売却価額よりも高い値段で買受人が現れるといったケースもあります。

競売物件を安く買うには期間入札の継続的な入札と特別売却への参加が重要

競売物件に入札する最大のメリットは、プロの不動産業者と対等な立場で不動産購入の土俵に立てるという点が挙げられます。もちろんスキルの違いもありますが、ほぼ同額の買い付けであれば業者の買い付けが優先される一般市場と異なり、1円でも高ければ買受人になれるのは非業者の個人や不動産投資家、不動産賃貸業者にとってのメリットです。

また、不動産競売は一度に数多くの物件の入札があり、入札した全ての物件を落札してしまう可能性が少しでもあることから、不動産業者は資金力のあるところ以外は自分たちの得意な物件に狙いを定めることが多く、多少の訳あり物件であればたまたま宅建業者の入札が少なく運よく購入できることもあります

つまり、競売物件に安く入札するためには、とにかく数多く入札することが一番ですし、たまたま誰も入札せず特別売却に流れた物件があれば、買受可能日の朝一番に裁判所に向かい買受を申し出ればそれだけ買受ができる可能性もあります。

不動産市場が高騰している時でも、不動産業者があまり狙わない小ロット・訳あり物件などであれば、コツコツ入札することで思わぬ割安物件を入手できるかもしれません。

スポンサーリンク

記事を共有する

最新情報をチェックする