【滞納対策】家賃保証の仕組みと保証会社の選び方

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不動産投資においてリスクの一つが家賃滞納ですが、滞納対策のための家賃保証には大きく分けて二種類あります。

家賃保証の種類

借り上げ型

主に不動産会社が不動産の賃借人となって借り上げ、一般の入居者に又貸し(またがし)をします。一般の入居者は法律上は転借人(てんしゃくにん)という立場になります。

借り上げ期間中は不動産会社が継続して賃料を支払い続けますので、仮に入居者(転貸人)が滞納したとしても、不動産会社は不動産オーナーに家賃を支払わなくてはいけません。

借り上げ型のメリットとしては、不動産会社が実質的な賃貸人となって募集・賃貸借契約・賃貸管理・退去立会い・精算までの全ての業務を行ってくれるため、手間がかからず楽な点が挙げられます。

逆にデメリットとしては、不動産会社は利益の出る金額で借り上げをするため、例えば家賃相場が6万円の居室を4〜5万円で借り、毎月1〜2万円の利益を得るということになりますので、その分不動産の投資利回りが下がります。

また、入居者が家賃を払っている場合でも、不動産会社が倒産したり、預かった賃料を着服することがまれにあります。

【参考】転貸借(てんたいしゃく)とは

AさんがBさんに居室を貸し、Bさんが自分では居室を利用せずにCさんにそのまま貸す場合、関係は次のようになります。

A→B→C

Aさんは賃貸人で、Bさんは賃借人かつ転貸人、Cさんは転借人となります。つまり、Bさんは借主でもあり、貸主でもあります。B・C間の契約は又貸し(転貸/てんたい)なので、転貸借(てんたいしゃく)といいます。

借り上げ型の家賃保証を行う会社

借り上げ型の家賃保証を行っているのは大きく分けてアパートの建築会社と不動産会社です。

アパートの建築会社の場合、アパートのセールスの一環で「建築後、●●年間は家賃保証します」と営業を行うのが一般的です。

不動産会社の場合、不動産オーナーの依頼で借り上げを行います。

借り上げをする業者としても、相場賃料に詳しく、かつ自社の営業力で客付けを行えないとなかなか利益の出にくいビジネスであるため、不動産に詳しい業者であるのは当然です。家賃保証とその後の管理まで請負うタイプの営業力のある建築会社であれば、格安の建築費で仕事を受ける必要はないため、自身で地場の工務店に見積もりを取るよりは高めになることが多いと思います。

保証委託契約型

不動産オーナーがもつ賃料債権を家賃保証会社が保証してくれるのが保証委託契約型です。

家賃保証会社は不動産オーナー(賃貸人)と入居者(賃借人)の間に直接入るわけではありませんが、両者が賃貸借契約を締結する際に同時に「オーナーと家賃保証会社」「入居者と家賃保証会社」でそれぞれ別個に契約を行い、入居者が家賃を滞納した時にオーナーの賃料債権を保証して立替(たてかえ)払いします。

この立替は法律上は代位弁済(だいいべんさい)と呼ばれるもので、家賃を支払わなければならないという賃料債務を入居者に代わって(代位して)弁済する(支払う)、ということになります。

代位弁済を行った家賃保証会社は入居者(本来の債務者)に代わって支払ったため、「本来あなたの支払うべき家賃を代わりに支払ったので、その分を払って下さい」と請求する権利が発生します。これを求償権(きゅうしょうけん)といいます。

このタイプの保証委託契約を事業として行っているのが家賃保証会社です。

家賃保証会社

家賃保証会社はいかにお客さん(入居者)の支払い能力を審査するかが肝ですので、特に相場賃料に詳しくなくても構いません。それよりも入居者の金融事故歴や就業実態などの支払能力を調査する事のほうがはるかに重要ですので、不動産屋というよりかは金融業者といえます。

代表的な家賃保証会社としては、カーサ(Casa)・日本セーフティー・全保連・日本賃貸保証・リクルートフォレントインシュア等があります。

他にも、クレジットカード会社は入居者の支払能力を見極めるための顧客データベースを保有していますので、こういった信販系企業も家賃保証業務に参入しています。大手百貨店のマルイ系列のエポスカードRoomIDという入居者のクレジットカードから毎月の賃料を引き落とすサービスを提供していますし、他にも三菱UFJフィナンシャルグループのジャックスや新生銀行系列のアプラスといった企業が家賃保証を行っています。

家賃保証会社を使う方法

上記の保証会社に電話をしても家賃保証はしてくれません。各社は不動産会社を代理店とする業務委託契約を締結しているので、その保証会社の代理店となっている不動産屋に依頼する必要があります。

今は大抵の不動産屋で代理店業務をやっているでしょうから、不動産の客付け募集を依頼する会社に今どの保証会社と代理店契約をしているのかを聞いてみるとよいでしょう。

家賃保証会社の比較

家賃保証会社を比較する方法について解説します。

初回保証委託料(初期費用)

保証会社の売上は大きく分けて二種類あり、まず保証委託契約時に初回保証委託料と呼ばれる初期費用を徴収し、次に保証委託契約の契約期間の更新の段階で保証委託契約更新料を徴収します。

そのうち、初回保証委託料は安い保証会社で月額賃料総額の0.5ヶ月分(ただし2万円に満たない場合は2万円といったケースが一般的です)、多いところで月額賃料総額の1ヶ月分といったところがあります。

仮に家賃65,000円、管理費5,000円の合計70,000円の賃料とすると、初回保証委託料は3.5万円〜7万円の開きが出ます。

初期費用の額が増えるとその分賃貸も付きにくくなるため、できるだけリーズナブルなところがおすすめです。

保証委託契約更新料

次に必要な代金として更新料があります。通常は1年に1万円、月額家賃の0.3ヶ月分〜0.5ヶ月分といったところが多いです。

そして重要なのが契約期間です。保証委託契約の期間が1年の保証会社ですと、毎年更新料を支払う必要が出てきます。対して初回の保証委託契約の期間が2年の場合、次に保証会社に更新料を支払うのは契約してから2年後になりますので、かなり大きな違いが出てきます。

安いところでは、初回保証委託料が月額賃料の0.5ヶ月分で2年契約、その後3年目以降は毎年1万円の更新料という家賃保証会社があります。さらに、過去1年間に滞納がなければ更新料は半額の5,000円となります。

決済事務手数料の有無

保証会社には、入居者が毎月オーナーへ家賃を振込み、仮に滞納した場合にオーナーまたは不動産会社が保証会社に滞納報告のFAXを入れることで保証会社から支払いを受けられるタイプのものと、毎月保証会社が入居者の銀行口座やクレジットカードから家賃を引き落としするタイプのものがあります。

後者の引き落としするタイプの契約の場合、保証会社側で口座引落手数料やクレジットカードの決済手数料がかかりますので、それが毎月の賃料の支払とは別に決済手数料として請求されるのが一般的です。

料金は、毎月400円程度のものや、賃料の1%といった金額が一般的です。仮に家賃7万円の物件ですと賃料の1%の場合には毎月700円の支払いとなります。

ただし、入居者から銀行振込みにて送金する場合にも大抵の場合は振込手数料がかかりますので、決済手数料が安ければさほど客付けに影響はないでしょう。保証会社がついている時点で支払自体はほぼ安心ですので、仮に決済手数料を負担に感じる入居希望者が現れた場合は毎月振り込んでもらう方式でも良いからです。

明渡訴訟・弁護士費用の保証の有無

入居者が滞納を続ける場合、保証会社は速やかに明渡訴訟の準備を始めます。大体3ヶ月程度で明渡しを済ませてしまうのが一般的です。通常はこの明渡しに要する費用は保証会社が全額負担することが多いです。保証委託契約には上限金額を100万円と定めている場合がありますが、通常明渡訴訟は訴訟費用として10〜50万円、弁護士費用として20〜40万円程度ですので、余程のことがない限り明渡しまで全てやってくれるのが一般的です。

なお、保証会社は代位弁済を行った段階で自己の債権を回収するために積極的に動きますし、滞納賃料の請求は社内の回収専門の担当者が回収を行い、訴訟は保証会社指定の弁護士を使って淡々と行いますので、オーナーにとって手間となることはほとんどありません。

原状回復費の保証の有無

実は最も重要なのがこの原状回復費の保証の有無です。

保証会社が滞納者の部屋の明渡しを済ませた後、不動産オーナーは原状回復を行いますが、預かり敷金はまず賃料債権の弁済に充当されますので、保証会社側が未回収の賃料相当額を敷金から持っていきます。

残った金額で原状回復費を捻出することになりますが、明渡しを行った場合は1〜2ヶ月分程度の滞納があるケースも多いため敷金が残らない場合も十分あります。

その際、例えば入居者が居室でタバコを吸っていたり、壁紙にたくさん傷があった、という場合、本来オーナーの自己負担となります。

しかし、保証会社によっては明渡し後の残地物撤去と原状回復の内装工事代を最大1ヶ月分まで保証してくれるケースもあります。同じ保証委託料であれば原状回復費まで保証されたほうがいいですよね。

代位弁済のスピード

入居者がオーナーまたは不動産会社に賃料を支払う場合、滞納があれば保証会社に滞納報告を行いますが、この滞納報告後すぐに代位弁済を行う保証会社と、締め日を設定して毎月数回支払いを行う会社などいくつかのパターンがあります。

いずれにしろ弁済を受けられるわけですが、資金繰り等の関係で必ず入金を受けたい場合は代位弁済が早いかどうかも決め手になります。

その他の違い

他にも細かな違いは多くありますが、全体としては小規模の保証会社ほど保証委託料等は安めですが、資金力や業界シェアが大きい保証会社にも信頼性はありますので、不動産会社としては契約内容や入居者の属性を考慮してその時に応じて保証会社を選択することもあります。

保証会社は入ったほうが得なの?

保証会社はわずかな例外を除き、絶対入っておくべきです。

初期費用が安くできる

保証会社に加入しない場合、敷金を多めに(1〜3ヶ月分くらい)預かる必要がありますが、それだと入居時の初期費用が高くなるため入居者が見つかりにくいですし、そもそも仮に3ヶ月分預かったとしても十分とは言えません。

保証会社に入っていれば滞納や明渡しの費用はほぼ考慮しなくていいため、敷金は無しか、つけても1ヶ月分で十分です。

費用がかからない

保証会社の初回保証委託料・更新料・事務手数料は入居者側が支払うため、オーナーにとって負担がありません。

不動産を売りやすい

不動産を売却する際に、保証会社に加入していなければ、買い手側は自分が審査をしていない入居者の滞納リスクを負うことになります。

保証会社と契約をしていれば、不動産を売却した後に入居者が家賃を滞納しても、明渡しまで保証会社が手続きをしてくれるため、買い手のリスクを減らせますし、結果高く早く売りやすくなります。

悪意の入居者を排除できる

不動産の明渡しには数ヶ月かかりますので、初期費用を安くした場合、はじめから賃料を滞納するつもりの悪意の入居者と契約してしまい、明渡しに期間がかかった上に賃料も取れず損をしてしまう可能性もあります。

保証会社加入必須としていれば、賃料を滞納して金融事故となっているような入居者は審査に落ちるため、そういった悪質な入居者を排除することができます。

そもそも個人の与信調査は素人が簡単にできるものではありません。保証会社は過去の滞納履歴や信用情報を確認して調査をしていますし、信販系保証会社においては自社のクレジットカードの利用歴等からも審査が可能だと思われますので、プロに任せるのが一番だと言えます。

そもそも、悪質な滞納に対しても明渡しに数ヶ月を要したり、飲食店なら10円のお菓子を盗んでも窃盗罪で逮捕されるのにもかかわらず家賃は何十万円滞納しても詐欺罪で捕まらないことのほうがおかしいのですが、法律で決まっていることですので、オーナー側の防衛策として保証会社への加入はほぼ必須と言えます。

今後の法改正でより入居者側を保護する法律になっていくと思われますので、家賃保証市場は今後も拡大していくと思います。

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