起業3年目、消費税課税業者になったら?免税事業者との違いと簡易課税制度を理解しよう

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起業して1年目に課税売上高が1000万円を超えると、特殊な事例を除けば2期後(2年後)の3期目に課税事業者となり、消費税の納税義務が発生する消費税課税事業者となります。

1〜2年目に消費税の課税を免除される免税事業者との違いや、1年目の課税売上高が5000万円以下の場合に選択できる簡易課税制度について解説します。

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消費税とは何か?

消費税は消費に対して課される間接税です。事業者が商品を販売する時に消費者から消費税を徴収し、預かった消費税を納税します。

消費税は最終的に消費を行う人のみから徴収する関係上、小売店が商品を仕入れて販売するといったケースでは消費税は本来課税されないことになります。しかし、販売した時点でその商品やサービスが最終的に消費されているかどうかは販売時点では判別が難しいといえます。したがって、消費税は商品を販売したり、役務(サービス)を提供した際に基本的に課税される売上税のような側面があります。

この時、商品を仕入れた小売業者は仕入れた時点で消費税を卸売業者(または製造業者)に支払うことになり、消費をしていないのに消費税を支払ったことになりますので、この商品を販売した際にお客さんから預かった消費税から仕入れたときに支払った消費税を差し引き、差額を納税すれば良いことになります。これを繰り返せば、形式的には最終的に消費を行った消費者が消費税を全額負担することになります(詳細は後述)。

例外としては、非課税取引・不課税取引・免税取引に該当すれば消費税は課税されませんし、また売り上げた事業者が消費税の免税事業者である場合、徴収した消費税を納付する義務はありません。この場合、徴収した消費税は益税(えきぜい)と言われます。

例えば、土地の取引は消費になじまないため非課税取引ですし、自宅の家賃の支払いは生活に不可欠な住居費を圧迫しないように政策的に非課税とされています。また、消費税は国内の消費に課税されるため、海外に商品を販売する輸出取引の場合は免税取引となります。

これらに該当しない場合、課税売上となり、課税事業者であれば納税義務が発生します。

課税事業者の判定と基準期間

課税事業者かどうかの判定は基準期間の課税売上高によります。基準期間は例外もありますが、基本的に個人の場合はその事業年度(1月1日〜12月31日)の2年前(前々年)の事業年度になり、法人の場合2期前(前々事業年度)の事業年度になります。個人の2016年分の事業活動に消費税が課税されるかは2014年の課税売上高に影響され、法人の5期の事業活動は3期の課税売上高に影響されることになります。

基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合(または基準期間がない資本金1000万円未満の法人の場合)

基本的に免税事業者となりますが、消費税課税事業者選択届出を税務署に提出すれば課税事業者にもなれます

消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば簡易課税事業者にもなれますが、簡易課税事業者は課税売上高がれば必ず消費税を納付する必要があり、課税売上高より課税仕入の方が大きい場合にも消費税の還付は受けられないため、免税事業者が選択できるケースで課税事業者選択と簡易課税制度選択を同時に行うメリットはほぼ無いかと思います。

なお、資本金が1000万円ピッタリだと基準期間がない場合でも消費税の課税事業者となるため注意が必要です。

基準期間の課税売上高が1000万円超〜5000万円以下の場合

課税事業者となります。簡易課税制度は選択することも可能です。

基準期間の課税売上高が5000万円を超える場合

課税事業者となり、簡易課税制度は選択できず原則課税となります。消費税の計算には課税売上高と仕入税額控除の計算が必須となります。

法人の基準期間の例外

法人の場合、1事業年度が1ヶ月や3ヶ月など12ヶ月未満の場合があったり(課税期間の短縮)、事業年度が1年毎の場合でも決算月の変更により基準期間が12ヶ月未満になること(3月決算法人が12月決算法人となると、4月1日〜12月31日の9ヶ月間の事業年度が生じるといったケース)があるため、基準期間が必ずしも「2期前」ではない場合があります。詳細は国税庁HPをご覧下さい。

この基準期間とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度のことをいいます(前々事業年度が1年未満の場合には、事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間をいいます。)。

引用元:No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき

消費税額の計算

課税売上高

課税売上(かぜいうりあげ)とは、消費税が課税される売上高(消費税抜)のことです。例えば10,800円(税込)の商品を販売した場合、消費税率が8%であれば消費税額は800円となりますので、課税売上高は10,000円となります。

個人へ住宅の貸付けや土地の貸付け、土地の売却代金は非課税売上となりますので、課税売上高から除外します。

このように、所得税法上・法人税法上の一般的な売上高と消費税法上の課税売上高は異なる概念ですのでご注意下さい。例えば、不動産会社が仕入れた土地を1000万円で販売した場合、法人税法上は売上高1000万円となり、消費税法上は課税売上高0円となります。

課税仕入(仕入税額控除)

課税仕入(かぜいしいれ)とは、消費税が課税される仕入高(消費税抜)のことです。

事業者が5,000円(税抜)で仕入れた商品を1万円(税抜)で販売した場合、消費税率8%として800円の消費税を徴収しますが、事業主はこの800円の消費税をそのまま納税するわけではありません。

事業者が商品を仕入れて販売する場合、仕入れた商品は販売目的で購入したものですので、消費のための買物ではありません。したがって、仕入れ時に支払った消費税は本来払う必要のないものですので、販売時に受け取った消費税から差し引くことができます。これを仕入税額控除といいます。

課税仕入は仕入れ時に消費税を支払うものですので、消費税が非課税となる郵便局販売の収入印紙は課税仕入れとはなりません。ただし、金券ショップで購入した収入印紙は課税仕入れとなります。金券ショップは収入印紙の売却を課税売上として申告するからです。

消費税額の計算

2014年4月1日より、消費税率は下記のとおりです。

税金 課税主体 税率
消費税 6.3%
地方消費税 都道府県 1.7%
合計(消費税等) 8.0%

消費税と地方消費税をあわせて消費税等(しょうひぜいとう)と呼びます。消費税等の税額は8%です。一般的には「消費税は8%だ」と言われますが、消費税法上は「消費税」は国税部分を指しますので、正確には「消費税等は8%」「消費税は6.3%」となります。

また、消費税申告上はまず消費税(国税)を計算し、次にその税額に17/63を乗じて地方消費税(都道府県)を計算します。納付は国(税務署)にまとめて申告し、納付された消費税等のうち地方消費税部分が国から都道府県に払い込まれます。

業者の納める消費税(国税部分の6.3%)は、課税売上に税率を掛けた金額から課税仕入に税率を掛けた金額を引いて計算します。

課税売上高[税抜]×6.3% − 課税仕入高[税抜]×6.3% = 消費税額(国税)

地方消費税には17/63を掛けて計算するだけなので簡単です。

消費税額(国税)÷63×17=地方消費税額(地方税)

課税売上高5000万円以下なら簡易課税制度が楽

会計上の売上と消費税法上の課税売上は異なるものですし、会計上の仕入と課税仕入も異なるものです。特に仕入控除税額を計算するのが大変なのが消費税申告の難しいところと言えます。

そこで、課税売上5000万円以下の事業者には簡易課税制度というものが用意されています。課税売上に対する消費税額に一定の率(みなし仕入率)を掛けた金額を控除対象仕入税額とすることができる制度です。

簡易課税制度の利用には事前の届出が必要となります。

例えば、課税売上2000万円の小売業者の場合は、小売業のみなし仕入率は80%ですので、次のような計算で消費税額を求めることができます。本来集計の大変な控除対象仕入税額の計算(青字部分)が簡単になります。

2000万円×6.3%=126万円 ・・・消費税額
126万円×80%=100万8千円 ・・・控除対象仕入税額
126万円-100万8千円=25万2千円 ・・・消費税納付税額
25万2千円÷63×17=6万8千円 ・・・地方消費税納付税額
25万2千円+6万8千円=32万円 ・・・消費税等納付税額

消費税と地方消費税は消費税申告書では分けて計算しますのでご注意下さい。

税込経理と税抜経理

税込経理は売上・仕入等の金額を税込で仕訳する方法で、税抜経理は消費税を別に仕訳する方法です。中小企業以下の規模であれば消費税の別記載が必要ないため税込経理がおすすめです。

税込経理の場合、消費税の区分が必要となります。例えば、売上高のうち非課税となる部分(アパートからの家賃収入等)があれば、非課税売上として仕訳時に設定する必要があります。

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